今回、新壱万円札の肖像に選ばれた渋沢栄一は、幕末から明治の時代を生き、600社近くの起業に関わり、近代日本を作った一人です。
また、渋沢栄一は孔子(紀元前552~479)の発言や振る舞いをまとめた『論語』を生きる規範とし、自ら『論語とそろばん』を著し『士魂商才』を提唱し、道徳の大切さを述べています。
前回は上司が部下に対する心構えのヒントになる「論語」を3つほど紹介しましたが、今回は集団による「いじめ」に関係する部分を2つほど紹介いたします。
『子曰く、君子は和して同ぜず。小人は同じて和せず。』
「君子は、どんな場合でも、人と和合して行動するが、無分別に人と同じ行動
をとることはない。これに対して、小人の場合は、無分別に人と同じ行動をとるが、人と和合して行動するということはない。」と孔子が述べたものです。
人と和合することは良いことですが、だからと言って無分別に同じ行動をとることはいかがなものでしょうか、例えば職場や学校での集団による「いじめ」やSNSにおける集団での誹謗中傷等につながりかねません。
やはり各自が自分自身の正義の下、言動に責任を持ち、起こりうる結果を考え行動することが大切だと思われます。
『衆之を惡(ニク)むも必ず察し、衆之を好(ヨミ)するも必ず察す。』
「大衆がある人を憎んでいる場合でも、その評判を鵜吞みにせず、必ず十分に
自ら調べて考える。また大衆がある人を好いでいる場合でも、同様にして必ず
十分に自ら調べて考えるべきである。」と孔子が述べたものです。
とかく人に対する評判というものは誤り易いものであり、軽率に評判を信用しないで、その人物について自ら調べて熟考して行動すべきだと思われます。