2024/08/05

渋沢栄一と論語について(上司の心構え)

2021年のオリンピックが終わり、NHKの大河ドラマ「晴天を衝け」も再開されました。
主人公は、『渋沢栄一』で明治の時代を生き、600社近くの起業に関わり、近代日本を作ってきた一人です。
 渋沢は、『孔子』自身の発言や振る舞いを書いた『論語』を生きる規範としており、同じく論語を愛読して『菅原論語』を編纂した『菅原道真』が『和魂漢才』を提唱したのに対して、渋沢は『論語とそろばん』を記述し『士魂商才』を提唱しました。
 そして、『士魂』も『商才』も「論語」が最も基礎となると述べ、ことに「商才」というものは、もともと『道徳』を基盤としているものであり、「道徳」から外れたり、嘘やううわべだけの軽薄な才覚は、いわゆる「小才子」や「小利口」であって、決して本当の「商才」ではなく、「商才」は「道徳」と一体であることが望ましく、「道徳」の書である「論語」によって「商才」も養えると述べています。
 ちなみに、『論語』を社労士として少し調べてみると、上司が部下に対する際の心構えのヒントになる文章が三つほど見つかりましたので紹介いたします。

①『君は臣を使うに礼をもってし、臣は君に使うるに忠をもってす
これは、人君が臣下を使うには『礼儀』を以てすべく、人臣は主君につかえるには『忠』すなわち『真心』をもってすべきである。という教えです。

②『上、礼を好めば、すなわち民使ひ易し
これは、民を巧みに心安く使おうとするには、まず以て上に立つ者が、礼儀を守るようにするがよい。という教えです。

③『上に居て寛ならず、礼をなして敬せず、喪に臨みて哀しまずんば、我何を
 以て之を観んや

これは、上に立ちながら寛大ではなく、礼儀を行うにその根本たる敬(うやまいの心)をつくさず、喪に臨んで哀悼の情をつくさないとういう風であれば、何のとりえも見出すことは出来ない。と孔子が述べたものです。

以上、労務管理の上からも、約2500年前の『孔子の教え(論語)』は、読んでみると「目から鱗」の箇所が多数ありました。